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さぬき市の自然

【地勢】
さぬき市の地勢は、北部の海岸部、中央部の平野部、南部の山間部に分けられます。
北部は、瀬戸内海に面し、青木海岸、鵜部鼻(うのべはな)、津田湾、円山(まるやま)、虎ヶ鼻、馬ヶ鼻、小田湾、大串岬、鴨庄湾、小串岬、志度湾と、砂浜海岸の湾入部と岩石・礫浜海岸の小さな半島部とが交互に並ぶ複雑な海岸線となっています。津田湾は別名蟹甲湾(かにこうわん)とも呼ばれ、カニの目に当たる所、鵜部鼻の先に名古島、円山の先に鷹島があり、津田川の河口の南北に約4kmの砂浜海岸が続いています。
北部と中央部は、標高約250m程度の山塊で隔てられています。中央部は、西方の高松平野と連なった平野で、大小のため池と小河川・水路が美しい田園景観を形成しています。南の讃岐山地から平野部を北東へ向かって津田川が津田湾へ、鴨部川が鴨庄湾へと流れ込んで、湾いっぱいに砂浜海岸が広がっています。
南部の山間部は標高約150m以上の讃岐山地で、最高峰の矢筈山(788m)は「四国百山」に選ばれています。最南部は、香川県では唯一の吉野川水系です。

【地学】
香川県全体が大断層・中央構造線より北にあり、西南日本内帯に位置しています。
さぬき市の中・北部は領家帯(りょうけたい)と呼ばれる区域に属し、風化して花崗土(かこうど)となる花崗岩(かこうがん)を基盤とした沖積層で形成されています。ここには、新生代後期に噴出した安山岩と凝灰岩で構成された山塊が点在し、凝灰岩からは植物や淡水性の動物化石が産出しています。1998年に雨滝山(あめたきさん)のふもとで世界最古といわれるナマズ化石が見つかり、話題を呼びました。
さぬき市南部の讃岐山地のふもとでは新生代後期の堆積層が見られ、長尾衝上断層(ながおしょうじょうだんそう)が東西に走っています。長尾衝上断層は長尾名の亀鶴公園南側の崖地で露頭しており、平地部で見ることができる衝上断層として有名で、天然記念物として香川県が指定しています。
さぬき市最南部の讃岐山地の山間部では中生代白亜紀後期の和泉層群が占め、アンモナイトやイノセラムス(二枚貝の一種)の化石が産出しています。

【気候】
海岸部は典型的な瀬戸内式気候です。降雨量は少なく、気温の寒暑差は小さく、日照時間は長いです。霧がよく発生し、海陸風の交替時は「なぎ」の状態になります。特に夏の夜は顕著で「瀬戸の夕凪」として有名です。
細かくみると、北部海岸部に比べ、南部山間部は気温は低く降雨量は多くなっています。海岸部では冬季においても結氷、降雪はほとんどありませんが、南方ほど多くなっていきます。

【景観】
さぬき市だけでなく島嶼部を除く香川県では、降雨量が少ないという気候条件、河川は短く集水面積が少ないという地形条件、水田開発の多さという歴史条件によって、水田灌漑の水源をため池に依存しています。さぬき市には1,812のため池があります。中でも1999年に再構築された「門入ダム」は市内最大のため池です。

【植物】
さぬき市の本来の植生は照葉樹林です。社寺林や沢筋には、ヤブツバキ、アラカシ、コジイなどがみられ、クスノキ、クロガネモチなども優勢です。
近年までは、海岸部はクロマツ、山間部はアカマツのマツ林が広く見られましたが、いわゆるマツクイムシの害によりほとんどが枯死してしまいました。市民投票の結果、さぬき市の「市木」にはマツが選ばれました。「津田の松原」は琴林公園とも呼ばれ瀬戸内海国立公園となっていますが、約3,000本のクロマツが約400年前に防風林として植樹されたものです。
海岸に近い岩崖地にはウバメガシが、内陸部の岩崖地にはアカマツがはえています。人家周辺には、アベマキ、クヌギ、コナラなどが多く、近年はモウソウチクの竹藪が広がっています。
落葉樹であるエノキ、ムクノキ、アキニレ、ケヤキなどは樹勢も強く、個体数も多いようです。
また、春には、ヤブツバキ、ヤマザクラ、モチツツジ、ヤマフジなどの花が里山いっぱいに咲き乱れています。海岸部ではハゼノキ以外の紅葉はあまり見られませんが、山間部ではきれいな紅葉や黄葉が秋をいろどっています。

【動物】
モグラ目、ネズミ目、コウモリ目およびヒト以外の野生哺乳動物で市内全域でノウサギ、タヌキ、キツネ、イタチ、テン、アナグマ、ハクビシンが、南部の山間部でニホンザル、イノシシ、シカが、海岸部でスナメリが見られます。個体数が多いのはノウサギとタヌキです。近年は、山間部で、ニホンザルやイノシシによる農林産物の被害が多くなっています。また、野生化したアライグマも目撃されています。
鳥類は、その特性から香川県一般と同様と思われます。カラスやドバトによる果樹・野菜の被害が多くなっています。キジ、ウグイス、メジロなどの個体数は多いようです。
爬虫類ヘビ類は、シマヘビ、ヤマカガシ、アオダイショウ、マムシ、ジムグリ、ヒバカリ、シロマダラ、タカチホヘビが市内全域に見られます。特に前4者は人家付近にも生息しています。
トカゲ類は、市内全域に、ニホントカゲ、ニホンカナヘビ、ニホンヤモリが見られます。特筆すべきはタワヤモリで、1955年に市内最南部・山間部の多和で新種として発見されました。学名はGekko tawaensis (ゲッコタワエンシスと読みます)と名づけられ、「多和」の地名は世界中の生物学者に知られることになりました。
カメ類については、クサガメが梅雨どきに多く見られます。また、個体数は少ないようですが、スッポンも見られます。
両生類のカエル類については、紹介を割愛しますが、アカハライモリ、カスミサンショウウオなどは個体数が激減しているようです。
淡水魚類は、20数種が確認されていますが、局地的にニッポンバラタナゴの生息が確認されています。
昆虫類のうちチョウ類は、60種ほど確認されており、大型のアゲハチョウ類は10種ほどが健在なようです。国蝶オオムラサキも個体数は少ないですが、山間部で見られます。
トンボ類は約40種が確認されており、クヌギ・アベマキ林ではカブトムシ、ヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタなどが、個体数は少なくなっていますがゲンジボタルが見られる水辺もあります。市内の昆虫相について調査されたことはあまりありません。
さぬき市は旧津田町および旧志度町と長い海岸線をもっていますが、水産業上重要なもの以外については、海岸動物について調査されたことはありません。


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